まえ   つぎ   日記


2008年3月11日 日帰り温泉の達人



この冬、伊東市・斜慕天公園で、柚子湯につかるカピバラが来園者の人気を呼んでいたが、

河津桜がそろそろ終わりを告げる3月11日、突然「カピバラの湯」が閉鎖された。

一年を通してオープンする予定だったが、カピバラの風呂に地元の老人が無断で入り込むなど、

予想外のトラブルがあったため、やむなく閉鎖したという。


3月10日早朝、公園清掃員の斉藤満吉さん(58)が、見知らぬカピバラが入浴しているのを発見した。

不審に思った斉藤さんが、お前は誰だ? と問いつめると、

オレだよ、オレ、オレ! と言いながら、カピバラの中から仙田喜三郎さん(83)が現れたという。


日帰り温泉名人の仙田さんは、気持ち良さそうに温泉につかっているカピバラを見て、

ワシも入りたい! カピバラと温泉に入りたい! 一日たっぷり楽しんで日帰りたい!

わが地元に未体験の日帰り温泉ゾーンがあるなんて信じられん!

何が何でもカピバラといっしょに温泉につかりたい! と勝手に決めた。


一度こうと決めたら実行しないと気が済まない仙田さんは、

孫からクリスマスプレゼントにもらったカピバラの着ぐるみを着て、

警備が手薄になる深夜、こっそり入浴していたという。

いまでは温泉仲間のカピバラやリスザルたちと仲良くなり、シャンプーやタオルを貸し借りする間柄だ。



仙田さんは、世界的に有名な日帰り温泉の達人で、世界中の温泉を日帰り入浴している。

ドイツのバーデンバーデンを筆頭に、アイスランドのブルーラグーン温泉、南極のデセプション温泉、

ペルーのアグアスカリエンテス温泉、ポーランドのヤストシェンビェ・ズドルイ温泉、ネパールのタトパニ温泉&ジヌー温泉、

トルコのパムッカレ温泉(世界遺産登録)、北朝鮮の金剛山温泉、台湾の北投温泉などなど…。

せっかくだから、ゆっくりして来ればいいのに、これらすべてが日帰り入浴だという。


圧巻なのは、ハワイ・キラウェア温泉の活火山ドロドロ溶岩風呂(6000℃)に、

なんと37分間も入浴し、世界新記録を樹立したのは記憶に新しい。

このときばかりは、さすがの仙田さんも重度の火傷を負い、病院に搬送される途中、こう叫んだ。


北京温泉五輪に出たい!

あきらめなければ夢はかなう!

仙田喜三郎、最後の挑戦!



カピバラ飼育員・河比原祐二さんのコメント

「カピバラの湯」ってくらいだから、普通、人間は入らないわなー、どう考えても。

第一、ウチは「高原の湯」でも「DHC赤沢温泉」でも「銀の湯会館」でもないし、風呂だってネズミっくさいわけよ。

それでも入るってとこが「日帰り温泉のプロ」なんだろうね。

なんだか強引な人だよねー。ほんと尊敬します。恐れ入りました。


公園清掃員・斉藤満吉さんのコメント

仙田さんを知ってるかって? 知ってるとも。有名だもん。ウチのすぐ近所、5丁目。

今夜あたりウチに来るんじゃないか。風呂に入りに。

なんつったって世界中すべての風呂に入るのが仙田さんの夢だからね。

地元の人はそれ知ってるから、ある日突然、仙田さんが自分んちの風呂に入ってても驚かないよ。

いつだったかなー、空の浴槽にしゃがんでたことがあったな。

仙田さんが言うには、お湯なんかなくたってイメージ次第でどうにもなるって。

世界最高の温泉に入ってると思えば身体がポカポカしてくるらしいよ。

お湯がない浴槽で、すごい汗かいてたもん。

日帰り温泉の達人と言われる人は、やっぱ、オレたちとは違うよね。



カピバラの親子と温泉を楽しんでいる仙田さん写真中央の大きなカピバラ


今年6月、仙田さんはタンザニアにある野生動物専用の日帰り温泉に行くらしい。

ライオン、ゾウ、キリン、サイ、シマウマ、ハイエナなど、いろんな野生動物と風呂あう(ふれあう)のを楽しみにしているが、

アフリカでもカピバラに変装するかどうかは検討中だという。


あなたもライオンと混浴しませんか、足湯で。  ←足湯かよ!




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