まえ  つぎ 日記INDEX

8月21日


初秋の都はるみ。

驚いた。都はるみに、驚いた。
CDの整理をしていたらバカ妹のコーナーに、
ジブリのテーマソングCDが出てきた。
ふん、ガキっくさい音楽を聴いてやがって…。

「風の谷のナウシカ」から「もののけ姫」までの主題歌CD。
その中に「おもひでぽろぽろ」のテーマソングがあった。
(原題「ROSE」作詞・作曲AMANDA McBROOM) 
もちろん映画は観てない。あまり観たくない種類のヤツだから。

読むともなしにCDの裏を見る。「都はるみ」の文字。
ジブリの映画主題歌を彼女が歌っている!
これは聞き逃すまいぞ。何としてもチェックしておきたい。

半信半疑。最初は小さな音で聴いた。良かった。すごく良かった。
都はるみ。うまい。70%で歌っている感じが、また、うまい!
しかもこれは外国の曲だ。

私はお気に入り音楽を聴くとき、つねにフルボリュームで聴く。
近所にあまり人がいないので、これができる。
都会なら10秒で怒鳴り込まれるだろう。
田舎にはこうした長所があるんだぜ。どうだい。小さく、えっへん。
スピーカーが粉々に砕け散るくらいの「強い音」で聴く。
昼前の伊豆高原に、名手・都はるみが響き渡る。

ぼう〜とした。こんなところに、こんな音楽があったのか。
歌上手は認めるが都はるみのファンではない。
しかし、これは、いい。
フェイ・ウォンの「アイズ・オン・ミー」を聴いて以来、
久々にうっとりする曲に出会った気がした。

気の早い秋が玄関をノックする。
そんな冷涼な伊豆高原に「はるみ」の歌声が流れている。

夏は終わりだ。熱く燃えた浮かれ囃子の季節は閉幕。
熱波に翻弄され、観光客の喧噪に小さく舌打ちし、
キーボードと戯れた高原の夏。とても楽しかった夏が終わる。

高原は、秋へ、そして、一目散に冬へ。
クリマスマスローズの葉裏に潜む生意気コオロギが、
若干の緊張と冬構えをせよと、私を、急かす。

フルボリュームで「ROSE」が流れていても、
とても静かな、緩やかな、時間が沈み込んでいく正午。
庭の木々に、セミの抜け殻が、ひとつ、ふたつ。



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