まえ  つぎ 日記INDEX

9月03日


夕食は秋刀魚と茄子の漬け物。

午後七時。いつもの質素な夕食。
献立を考え調理をするのは妻。アシスタントはバカ妹。
私はもっぱら食べる男である。たまに盛り付けの指南役をする。
完成した料理にほんのひとくふう。
例えば三つ葉でもパッパッと散らしておくだけで、
百倍も旨そうに見えるのに、ウチの女どもはそれをしない。
料理は、まず目で楽しみたい、目で味わいたいのに。


昨日、秋刀魚を食べた。今年は秋刀魚が安い。形もいい。名刀ギラリ。
初物なので3人ともニコニコして食べた。
初物を食べたときは東を向いて笑えと祖母が言ったが、
NHK7時のニュースで田中康夫の顔がアップになったので、どうにも笑えない。
3人ともウヘッと言いながら下を向いて黙々と食べた。


カボスをギュッと絞って香りの味付け。おろした辛味大根。からい!
小骨の一本、一本にまで、早い秋がしみ込んでいる。
できることなら、つい、さっきまで三陸沖を豪快なクロールで、
潮流に乗り猛スピードで泳いでいた秋刀魚を食べたい。
伊豆でも秋刀魚が獲れないかなー。
ここは鰺と金目鯛。地魚の代表である。
あと伊勢海老も獲れるけど、お目にかかってない。


秋刀魚の横に茄子の漬け物がある。ウチの浅漬けか。うまいねー、これ。
違った。スーパーで買った京都の漬物屋のモノらしい。
わお、わお、色がきれい。いわゆる茄子紺。
小さな丸茄子の深い深い紺色。あっさり浅い塩。う、うま〜〜い!



漬物で想い出す店がある。
昔、漬物フルコースを京都の小洒落た店で食べた。
漬物のひと口寿司が出てくる。ぽいぽい放り込むように食べる。
ま、ご飯と漬け物。マズいわけないわなー。
丸餅が入った西京味噌のおつゆ。大鉢に美しく盛られた漬物たち各種。
最後に京都茶漬け「ぶぶ漬け」と言うらしいが、これを、ガッガッと食べる。

なにしろ主役が漬物だもん。お気軽、お気軽。でも、おいしい。
腹いっぱいにはならないが不思議な満足感があった。
柚の香りが忘れられない「柚こぼし」。あれも、うまかったなー。
箸休めの脇役・漬け物が主役になる京都。不思議な町だ。

秋刀魚、茄子の漬け物、カボチャ煮、シラスおろし、韓国海苔。
ひえ〜、パワーが出ないモノばっかり。ああ、質素な食卓。

7時30分。同じくNHK「クローズアップ現代」が始まった。
いつのまにか、冷たいお茶から温かいお茶に変わっている。
食後。3人で交替で書いている10年日記を誰かが書き始める。

ねーねー、今日は、何か事件があった? 書くことある?
ない、何もない。まったく何もない。平凡な一日。
初物の秋刀魚を食べた。それ、書いておけば…。

あ、足の指をぶつけて血が出たんだ。これ、書こうっと。
スニーカーを洗ったことも書いといてね。
ウチの中にトンボが入って来たでしょ。秋よねー。
銀行にお金おろしに行って昼は回転寿司食べただろ。
もう、花水木が紅葉してんのよ。秋よねー。
トゲが刺さった。なかなか取れない!
シャワー浴びてたら天井からカマキリが降ってきた!
目覚まし時計が壊れたので寝坊した。
日が暮れるの早くなった気がする。秋よねー。

ウチの日記は、小さな事件がてんこ盛り…。



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