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●落語研究会の異人・うーさん
お陰様であえなく中退。正確には授業料未納で除籍。 ちゃん、ごめんね。 ガキの頃から親しんでいた古典落語。知れば知るほど奥が深いと思った。 学園祭で演じたり、学生落語選手権に出場したり、老人ホームに慰問に行ったり。 ほんと、おもしろかったなー。やりたい放題だった。 シロートの学生落語だから、マも何もない棒読みするだけのヘタクソもいれば、 セミプロかと思う先輩がいた。着物の着こなしが私たちとは違っていた。 飄々とした身のこなしがすでに噺家だった。卒業後、プロになった。 お元気ですか、●川さん。その節はお世話になりました。 確実に笑いを取れるのは、彼と私ほか数名。 私は、つねに爆笑王だった。大学一年で真打ち。居並ぶ先輩も顔負けさ。 仲間たちは古典落語を一字一句違えず演じていた。正統な落語だが、つまらない。 ハタチそこそこの若者が「えー、吉原てぇところは・・・」なんて言ってもさ。 ● 私は考えた。まず見た目でツカもうと、憧れの人・野坂昭如のサングラスをかけた。 観客はぎょっとなる。身構える。緊張する。女性は、ぽ〜っとなる。 と、次の瞬間。ヤクザな外見からは想像もできないバカ話を速射砲のように繰り出す。 オリジナルの小ネタを惜しげもなく、これでもかと客に撃ち込んだ。 緊張と緩和。笑いの方程式。天性のマの取り方、憂いを帯びたハズシ加減、絶妙。 ウケないわけがない。いつでも、どこでも、爆笑また爆笑。 そして、最後の最後にサングラスをはずして、つぶらな瞳をチラッと見せた。 これで、モテないわけがない。あちこちで女子大生からサインを頼まれた。 後輩のイイジマが学生落語家うーさんのブロマイドを制作した。↑写真 飛ぶように売れ・・・・・なかった! 500枚作って80枚ほど。大赤字。 世の中、甘くない。イイジマ、だから、やめようって言ったんだよ。バカ! ● こんな私を快く思わない先輩がいた。 お前よ、きちんとした古典落語をやれよ! わかってんのか! けっ、ふざけたことを言いやがると思ったが、そこは先輩・後輩だ。 殊勝な顔をして説教を聞いた。しぶしぶ。 次の公演会。なんの反省もなくいつも通りにやった。大うけ。ざまーみろい! これを最後にオチケンにはあまり顔を出さなくなった。 大学より社会で学ぶほうが楽しいと思い始めていた。 大学の1000倍、おもしろい! ありとあらゆる分野の教授に出会った。 セミ社会人。中途半端な立場を思う存分に満喫した。 ● 先日、イイジマから電話が来た。久しぶりだ。元気そうで何より。 オチケン時代の写真や声を集めてDVDを作るという。 うーさんも何かおもしろい写真があったらメールで送ってください。 古いアルバムに↑の写真があった。ああ、青春のロン毛。ふさふさ。 時は流れて2003年10月。一本もない(毛根は、ある!)。念のため。 うーさんの「ロン毛・ブロマイド」を欲しい人は無料進呈いたします。
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