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●8月19日(火):幻の入道雲

今年は積乱雲を一度も見なかった。

明るい夏空に大波乱を招く、あの居丈高で高圧的な入道雲を。

静かなお昼寝の午後を攪乱する超高圧電流の塊が、出番待ちの夕立をけしかける。

さあ、行け! 猛烈に暴れよ、浮きに浮いた人の世を存分に掻き乱せと。

夏をまるごと抱え込んで不気味にせり上がってくる積乱雲を眺めながら、

茹でたてのトウモロコシを食べるのが好きだ。

真夏を独り占めしたような真っ白に荒ぶる入道雲が好きだ。

なのに、今年は、どうだ。

梅雨の最後っ屁かと思うような、スジの通らない、だらしない雨が降り続く。

アスファルトを焦がす炎熱を一瞬で冷やし、

道路をグニャグニャにねじ曲げて見せる「逃げ水」を、さっと追い払い、

草木すべてに滋養たっぷりの雨をもたらす清水のような夕立。

やるべきことやり終えると、やけにあっさりと退散する夕立。

そんなスカッとするスコールは、いちども降らなかった。なんてこったい!

まったく、ほんとに、ダメな夏だ。

冷夏を「みどりの冬」と言うらしいが、農家にとっては「暗黒の夏」であろう。

入道雲の代わりと言ってはナンだが、白のクレマチスを眺めよう。

かつては白薔薇の親友だったが、薔薇が養子に出されてしまい寂しい日々。ごめんね。



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