まえ  つぎ  日記INDEX

8月24日(日):手筒花火の男たち


金曜日、「箸供養」が行われた。

伊東温泉の旅館やホテルから出された使用済みの割り箸が、

会場中央に堆く(うずたかく)積み上げられ一気に燃やされる。

割り箸の山を劫火が包み込むと同時に、辺りは完全に暗くなり、

闇に踊る炎は火柱となって、火の粉を盛大にまき散らしながら天に昇っていく。

そして、本日のクライマックス、手筒花火のはじまりだ。

30人の花火師が手筒を脇に抱えて一斉に会場の砂浜に走り出る。

あちこちから炎が威勢良く吹き出し、花火師はポーズを決める。

観衆からはヤンヤの拍手喝采! 「勇壮な男ども」とは彼らのことだ。

昨年も見物に来た。今年も来た。たぶん、来年も来るだろう。

これを見ずして伊豆の夏は終わらない。

四方八方に飛び散る火の礫が、闇を焦がし、うねるように蠢き、

天に向かって吹き上げる火花の奔流が「夏は終わりだ!」と告げる。

熱狂の手筒花火が終ると、一瞬にして真っ暗闇。

強烈な光りを浴びつづた目は、突然、見るべきものを失い途方に暮れる。

炎の残像が焼き付いた網膜は、いつまでも恍惚の映像に酔いしれており、

現実の闇を見ようとはしない。虹彩の快感、火龍の余韻。

夏に幕を引き、熱い季節にビシッと引導を渡した手筒花火の男たちが、

観客の拍手を受けながら会場を去っていく。

人々もまた帰り支度をはじめる。

見上げると大接近した火星が光っている。その赤色は老いて濁っている。

こうして夏は、静かに円を閉じて、ゆっくりと秋が開いていく。

と思いきや、土曜・日曜・月曜。狂ったような酷暑。

いったい、どうなってんだ?  ほわい?



まえ  つぎ  日記INDEX

inserted by FC2 system