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8月29日(金):私の青空


午後2時、34.7℃。あはは。笑うしかない暑さ。

よせばいいのに樹木の剪定をした。日焼け止めをたっぷり塗って、

頭にタオルを巻いて、その上にUVカットの帽子までかぶって。

右手に切れ味の悪いノコギリ、左手にバネがへたった剪定ばさみ。

2時間もすると汗が流れ落ちて目に入る。Tシャツは水をかぶったようだ。

5mの脚立に登って高い枝を次々と切り取る。空がどんどん広くなる。

見上げると、夏の青空。

「空の名前」という本にも掲載されない、何の変哲もない「いい空」だった。

すでに秋の色を宿した涼やかなブルー。ふしだらな形をした雲が浮かぶ。

「雲の名前」にも載っていないだろう無名の雲。

おーい、雲よー。岩木平のほうまで、ゆくんか〜。だいぶ遠いな。

それにしても5mの高さ。気持ちがいい。空に近い。地べたから遠い。

俯瞰する快感。庭のレイアウトの欠点がよくわかる。

よーし、来年こそ、空中浮揚に挑戦しよう。まずは15cmから。

5mの高さから今度は地上を見下げると、おや、ワレモコウ。

活け花などで9月の花材として必ず使われるワレモコウ(吾亦紅)。

頭でっかちなスタイル、どこか愛嬌があって好きだ。

先っぽのガクには、きっと、夏の想い出がつまってるんだよね。

ぎゃ! オレって、ポエマー?

ご近所の老人は暑さを避けて家にこもっているのだろうか。

いつもなら庭仕事をしていると生け垣の向こうから散歩途中の人が、

「ご精が出ますね」とひと声かけてくれるのに、人っ子ひとりいない。

人も、風も、虫も、息を潜めている午後。

いま、このとき、この空を眺めているのは、私ひとりではないか。

ちょっと叫びたいような錯覚!

平凡だけど素晴らしい青空を独り占めしている。

往く夏は、いま、私の手元に確かに在る。至近距離にいる。

この夏、最高の午後。




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