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●9月1日(月):トンボとキリギリス
昆虫で何が好きって、トンボほど好きなものはない。 とんぼ=ドラゴン・フライ。「空飛ぶ竜」と見立てた人に拍手だ。 飛び方が好きだ。蝶は、絶えず人目を意識している気がしてならない。 ダンスをしているかのように飛ぶ。ふわふわ、ふわふわ。てふてふ、てふてふ。 たまーに、ワルツのステップを踏んだりする。 アゲハチョウが小声で「安藤・とろわ」と言っていたのを聞いたことがある。 その点、トンボは餌を狙うときなど直線的に飛ぶ。 小虫の群れ、ほら、蚊柱みたいな。たとえば薄羽蜻蛉の大集団のなかに、 躊躇せずまっしぐらに突っ込んでいく様は、高性能ジェット機を想わせる。 空気を切り裂いて、秋を走り抜けるトンボ。 ↑写真:クルマのアンテナで羽根を休めて、何を想う? 夜10時。悲鳴が聞こえる。ものすごいアイスクリーム! いや、スクリームだ。愛はない。うぎゃ〜〜〜〜〜! 二階だ。何が起きた? 妹の部屋にキリギリスがいた。それだけ。大声を出しやがって、バカめ!
敵が弱いと知ると急に強気になる妹。 秋の虫は、小箱に乗ってヒクヒクと触覚を動かしている。 ● そこに妻がやってくる。
バカふたりは、こういう会話を延々とやる。飽きるまでやっている。 大人の私は思う。つくづくウチら3人は、キリギリスだなーと。 アリのように地べたを這いずり回って地道に働きもせず、 浮かれに浮かれて、のほほん暮らし。反省したり開き直ったり。 でもさ、アリは1mmも飛べないけど、キリギリスは空中を飛ぶよ。 ★「羽アリは飛びます」というクレームはご遠慮ください。 羽根があるか、ないか。あったほうが楽しいに決まっている。 人間にだって羽根がある。心が羽ばたけば、いつでも跳べる。 ● アリは一生懸命に働いたから悠々自適だけど、 キリギリス君、キミは老後苦労するらしいぜ。どうするよ。 年金だって支給額、ぐーんと減りますよ。生活設計、大丈夫? ってことは、ウチとキリギリスは、ご同輩! あはは。 ま、どうにかなるさ。明日は明日の風が吹きまくるってなもんさ。 今夜は妹の部屋でゆっくり羽根を休めてください。 ● あれマツムシが ちんちろちんちろ ちんちろりん あれスズムシも りんりんりんりん り〜んりん きりきりきりきり キリギリス がちゃがちゃがちゃがちゃ くつわ虫 あとから馬おい おいついて ちょんちょんちょんちょん すいっちょん♪ 秋の夜長を鳴き通す? 近所迷惑です。
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