まえ  つぎ  日記INDEX

9月1日(月):トンボとキリギリス


昆虫で何が好きって、トンボほど好きなものはない。

とんぼ=ドラゴン・フライ。「空飛ぶ竜」と見立てた人に拍手だ。

飛び方が好きだ。蝶は、絶えず人目を意識している気がしてならない。

ダンスをしているかのように飛ぶ。ふわふわ、ふわふわ。てふてふ、てふてふ。

たまーに、ワルツのステップを踏んだりする。

アゲハチョウが小声で「安藤・とろわ」と言っていたのを聞いたことがある。

その点、トンボは餌を狙うときなど直線的に飛ぶ。

小虫の群れ、ほら、蚊柱みたいな。たとえば薄羽蜻蛉の大集団のなかに、

躊躇せずまっしぐらに突っ込んでいく様は、高性能ジェット機を想わせる。

空気を切り裂いて、秋を走り抜けるトンボ。

↑写真:クルマのアンテナで羽根を休めて、何を想う?

夜10時。悲鳴が聞こえる。ものすごいアイスクリーム!

いや、スクリームだ。愛はない。うぎゃ〜〜〜〜〜! 二階だ。何が起きた?

妹の部屋にキリギリスがいた。それだけ。大声を出しやがって、バカめ!

だって、ゴキブリが飛んだかと思って。コイツ、肩に乗ってきた!

なーるほど。よく見れば黒くない。うん、確かにキリギリスだ。

ほれ、折角だから鳴いてみたまえ。

敵が弱いと知ると急に強気になる妹。

秋の虫は、小箱に乗ってヒクヒクと触覚を動かしている。

そこに妻がやってくる。

:キリギリスって、どう鳴くの? ちんちろ ちんちろりん?

:サイコロじゃん。

:りんりん りんりん?

:勇気かい?

バカふたりは、こういう会話を延々とやる。飽きるまでやっている。

大人の私は思う。つくづくウチら3人は、キリギリスだなーと。

アリのように地べたを這いずり回って地道に働きもせず、

浮かれに浮かれて、のほほん暮らし。反省したり開き直ったり。

でもさ、アリは1mmも飛べないけど、キリギリスは空中を飛ぶよ。

「羽アリは飛びます」というクレームはご遠慮ください。

羽根があるか、ないか。あったほうが楽しいに決まっている。

人間にだって羽根がある。心が羽ばたけば、いつでも跳べる。

アリは一生懸命に働いたから悠々自適だけど、

キリギリス君、キミは老後苦労するらしいぜ。どうするよ。

年金だって支給額、ぐーんと減りますよ。生活設計、大丈夫?

ってことは、ウチとキリギリスは、ご同輩! あはは。

ま、どうにかなるさ。明日は明日の風が吹きまくるってなもんさ。 

今夜は妹の部屋でゆっくり羽根を休めてください。

あれマツムシが ちんちろちんちろ ちんちろりん

あれスズムシも りんりんりんりん り〜んりん

きりきりきりきり キリギリス

がちゃがちゃがちゃがちゃ くつわ虫

あとから馬おい おいついて

ちょんちょんちょんちょん すいっちょん♪

秋の夜長を鳴き通す? 近所迷惑です。



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