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●12月8日 ホストとミカン


台風並みの暴風雨が襲ってきたかと思えば、真夏のような暑さにびっくり!

あわてて海パンと日焼け止めを用意したら、夕方からググッと冷え込んできて…。

12月とは思えないメリハリがありすぎる天気に翻弄されている今日この頃です。

みなさん、いかがお過ごしですか。

昨日、行きつけの本屋B教堂で立ち読みをしていたら、

若者2人がクルマ雑誌のコーナーにたまっていた。

「カーグラ」「NAVI」あるいは「CAR&DRIVER」をパラパラめくるでもなく、

ただ、なんとなくそこに突っ立ってしゃべっている。

おしゃべり野郎がふたり。

ここはファミレスじゃないぞ! 本屋さんだぞ、静かにしろよ! 

注意しようとしたが逆ギレされて刺されてもつまらないのでやめた。

うるさいので文庫本コーナーに移動しようとした、そのとき!

「女に食わせてもらう」という聞き捨てならないフレーズが飛び込んできた。ん?

私は若者2名のすぐ横に立ち、ピンと耳を立てる。

盗聴スタート・録音開始! かちっ。

以下、若者2名の会話をできる限り忠実に再現してみよう。

A:あのよ、思うんだけどさ。男って結局は女に食わせてもらうのが、いっちゃんラクじゃん。

B:まあな。

A:だからってよ、いまどきヒモになるのもかったるいだろ?

B:ほかの女と遊べねーしな。

A:だろ? だろ? 違う女とつきあったりしたら殺されそうだよな。

B:かもな。

A:だからオレはホストの仕事してんだよ。愛は平等に・・・みたいな。

B:じゃ、ホストってさ、同時に何人もつきあってるわけ?

A:あたりめーじゃん! 仕事だもん。オレの恋はいつも同時進行形よ。ing ing ing ってやつよ。

B:じゃーさ、二股、三股、よまた、ごまた、ろくまた、ななまた、はちまた、とか?

A:なんだよ、はちまたって? 

B:8人の女と…みたいな。

A:がはは! 8人かよ。そりゃ忙しいな。多忙極まるぞ。365日・師走か? 確定申告2日前か?

B:身が持たないよね。

A:それによ、8人が同時に股関節脱臼したら大変じゃん。はちまた股関節てか。ああ、おもしれー♪

B:あはは。テッちゃんは冗談がうまいなー。カッコいいしさ。美脚だし。

A:まあな、世間でいう菜食主義ってやつかな。

B:それは「才色兼備」だっつーの!

A:おお、修二。つっこめるじゃん。えらい、えらい。

B:まあな。

A:最近、いろいろ忙しくてよー。

B:12月だもん。やっぱ、お客さん関係には年賀状とか出すわけ?

A:あたりめーじゃん! オレなんか100枚は出すぜ。仕事だもん。

B:えらいよなー。

A:100枚を手書きって大変だぜ。「プリントごっこ」買ったもん。すげーだろ?

B:「プリントごっこ」って…。パソコンとかプリンター、ないわけ?

A:おまえ、バカにしてんだろ。最新型「プリントごっこJET」だぞ! ミッチーだぞ・・みたいな。

B:で、やっぱノルマとかあるわけ? 売上げとか? テッちゃん、カリスマ・ホスト?

A:そこまで行かねーよ。売上げ11位ってとこかな。

B:へえー、すげーじゃん。ホストは全部で何人?

A:…。

B:何人?

A:12人だけど。おまえに関係ねーじゃん!

B:まあな。

A:これでも努力してんだぜ。ヒゲとかスネ毛、全部脱毛したもん。

B:へええーーー! やっぱ、Yes! 高須クリニック

A:いや、五反田のなんとか美容整形ってとこ。

B:ふーん。

A:つまりさ、男の仕事はいろいろあるけどよー、その分野分野で努力しろってことだろ。

B:まあな。

A:メンズプラザ・アオキのスーツなんか着たことないよ。オレ、みんなコナカだもん。

B:アオキ、だめ?

A:ダメじゃねーけどよ。そこは、ほれ、ブランドつーの? そういうのがさ。

B:やっぱ、コナカかなー。

A:あたりめーじゃん! おまえもスーツ買うならコナカにしろよ。ダブルでキメろよ。

B:うん。


と、突然、オレンジレンジの「花」が店内に鳴り響く。着ウタ。

花びらのように散りゆく中で 夢みたいに 君に出逢えたキセキ♪


A:あ、ケータイ。しもしも? しもしも? アケミちゃん? どうしてた? 元気なわけ?

状況説明:店内にてあたりかまわず携帯で話しまくるホストのテッちゃん。

友人は電話に気を遣ってか、それとなくアダルトコーナー方面へ移動していく。

8分後。アケミちゃんと話し終えたテッちゃん。友人が戻ってくる。

B:さっきケータイに出たとき「しもしも?」って言ったじゃん。あれ、古くねー?

A:バカ言ってんじゃねーよ。あれでいいんだよ。

B:はて?

A:だって、アケミちゃん、62だもん。

B:身長? 

A:うぉい、うぉい! 62cmかよ。産まれたての赤ちゃんかよ。少し大きめかよ。

B:もしかして62歳ってこと?

A:なんか含むところ、あるわけ? 62歳だっていいじゃん。

B:いいけど…。

A:アケミちゃんは、古めのジョークがお気に入りなんだよ。「しもしも」とか「ガチョーン」とか。

B:へえー、お客さんに合わせるわけか。すげーな、テッちゃん。

A:だろ? だろ? だろ?

B:彼女からプレゼントとかもらう?

A:もらうよ。このあいだ「ユニクロのヒートテック下着」もらった。ぱんつ。

B:ロレックスとかじゃないわけ?

A:…

B:プレゼントもする?

A:するさ。彼女が欲しいっていうから「イオンスチーマー」買ってやったもん。お肌つるつる♪

B:テッちゃんは努力してるから、そのうちカリスマ・ホストになれるかも。

A:まあな。

B:やっぱ最終目標は「新宿・愛本店」?

A:いきなり東京はヤバイからさ。伊東→熱海→小田原→相模原と行って…

B:キメは新宿と。

A:まあな。

B:その頃はカリスマかな? テッちゃん、雲の上の人じゃん。

A:かもな。

B:ちょー売れっ子ホストだよね。

A:かもな。

B:ホストのなかのホスト! ロイヤルホスト!

A:ファミレスかよ。ロイホかよ。

B:あはは、いっつ・じょーく。

A:ところでよ、修二。来年さ、成人式に出るわけ?

B:出たいけどムリだな。その頃、ミカンが最盛期だもん。忙しくて。

A:オレも出ない。親父と船に乗らなきゃ。おもに伊勢エビ。

B:ホストって漁師もやるのか。すげーな。

A:まあな。正月、遊びに来いや。

B:ああ、行くよ。トランプやろうぜ。

A:また七並べか?

B:うん。

A:じゃーな。

B:またな。



かくして若者2名、テッちゃんと修二君は本屋をあとにした。

彼らが去ったあとの書店は寂しい。急にしーんとした。

静寂と書いて「しじま」。蜆と書いて「しじみ」。

ホストのテッちゃん。みかん農家の長男・修二君。へんに清々しい若者であった。

ウソくさい晴れ着を見せびらかし、友達としゃべりたいだけの成人式なんかに出なくてもいいさ。

冷たい西風が吹き荒れる真冬の伊豆の海で、父親と伊勢エビを獲るテッちゃん。

台風22号の爪痕が残る宇佐美のミカン畑。ころげ落ちそうな急斜面で働く修二君。

そのときに着ている作業着こそ、キミたちの晴れ着なんだから。

そんなの、やだ? だろうな。

テッちゃんの晴れ着「コナカのスーツ」に乾杯! by 松岡修三

修二君の晴れ着「ワークマンのつなぎ」に乾杯! by 吉幾三

ホスト&ミカン。どちらも女性に好かれます。てへ♪ ←笑点かよ!



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