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海苔は永遠に消化しない?  04.2.4 水曜日



夜はほとんど外出しないので外食といえばランチ限定。

それも「うなぎ」か「イタリアン」が多い。

ウチは3人とも、うなぎが好きで好きで。パスタが好きで好きで。

馴染みのうなぎ屋「浜名亭」に行った。1000円のランチ。我が家はこれで充分満足。

隣の席には毎日通って来る常連のじーさん。

聞けば体調の悪いとき以外は日参しているという。毎日、毎日、毎日、昼はうなぎですよ。

うな重+ビール(中)が定番のオーダー。うなぎ効果なのか、肌がつやつやしている。

とても89歳には見えない。きょうも、ゆっくり長寿を噛みしめていた。

後方の席からひときわ大きな笑い声。おばさんグループ4人。

例の如く声を抑えてしゃべらないので会話が店内にまる聞こえだ。

ひとりは尼さん。外国人シスター。お、外国人じゃん! ←いまどき珍しいんかい

シスター、うなぎ、好きなんですか。へえー。

聞くともなしにシスターの言葉に聞き入る。あくまでも聞くともなしに…。

以下、シスター談

日本に来て初めてうなぎを食べたのは25年前です。

本格的な「うな重」ではなくて蒲焼きを細切れにした安いうな丼でした。

いわゆる貧乏人が食べる「うなぎランチ」ですね。

ほれ、あそこの3人が食べている、ああいうやつです。

シスターは私たち3人を指さす。うぎゃ! たまらず目を伏せる。屈辱の伏し目がち

でね、問題は海苔なのよ。

刻んだ海苔が刻んだウナギの上にぱらぱらとかけてあるわけ。

わたしゃ、ゴミかと思いました。なんじゃ、こりゃ? ほわっつ?

海苔=laver。納得したけどイヤでした。故国にはゴミを食べる習慣がないから。

しかし! 好き嫌いは神の御心に背くこと。勇気を振り絞って食べました。

キヨミズのステージからフォールダウンしたつもりで。

誰もがいちどは飛び降りるキヨミズ・テンプル、ご存知か?

25年前に初めて食べた海苔が、まだこのへんにさ、ノドのあたりにあるの。

食道にヘバりついてるわけ。胃に落ちない、腑に落ちない、消化しない。

しぶとい海苔ですこと。イヤになります。

ろんぐ・ろんぐ・たいむ・あごー・25年

日本では四半世紀と言いますね。

おばさんA:最近見かけないけど、あの味、懐かしいわねー? 

おばさんB:それはミルクセーキでしょ!

シスター:あなたがた、何をボケこいとんねん。ちゃう、ちゃう! 

25年=四半世紀! あんだーすたん?

海苔が25年間も消化しないまま食道に残っているのは、

きっと神の思し召しなんでしょうか。あーめん。


聞くともなしに耳を皿のようにして一部始終を聞いてしまった「シスターと海苔」のお話。

シスターは「ミルクセーキ」を言わせたいがために、ここまで引っ張ったのか。

ここはひとつじっくり考えてみる価値がありそうだ。

海苔=laver。laverにはもうひとつの意味がある。laver=洗礼盤。

ウナギ→海苔→laver→洗礼盤→シスター→教会→ウナギ屋の近所→ウナギランチ→海苔→

まるっきり関係ないこともない。これぞウナギの輪廻か? 

「うな重」を食べ終えたシスターは爪楊枝を取り、

なれた手つきで歯をせせっている。シー ハー、シー ハー。

教訓:海苔は永遠に消化しない。うなぎランチは安くてうまい!



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