まえ  つぎ  日記INDEX
●1月16日 冬のダンス教室


友人Rさんが何を思ったかバレエ教室に通い始めた。

馬鈴薯のバの字は書けるが、バレエのバの字も知らない、ちょー初心者である。

元々、スリムで、スタイルがいいからバレリーナ向きかも。ぷりまどんな♪

早速、彼女はバレエシューズを買った。やる気だ。

最初はトゥシューズではなく、ふにゃふにゃのバレエシューズ。かわひひ♪

先生はイギリス人のおっさん。ウェールズ出身の62歳、出っ腹。←いいのかよ?

生徒はわずか3人。金曜日19時-21時。授業料は10ポンド(1ポンド=195円)。

練習場は公民館の2階、8畳ほどのスペース。生徒が少ないからいいようなものの狭すぎない?

当然、壁一面ミラー張りなんて夢のまた夢で、つかまるバーもないらしい。あはは。

そんなことはお構いなしに、レッスン初日がやってきた。


レッスン場には、長さ4mほどの竹竿が2本。はてな?

カンのいい読者はすでに展開が読めたかもしれないが、かまわず話を進めよう。

今夜も踊ろう! れっつ・ご〜!

先生のかけ声と同時に、生徒Aさん・Bさんが竹竿の両端を持って、

竹同士を「ちゃん!」と打ち鳴らし、つづけて激しく床に2回打ちつける。

音楽は3拍子の曲ばかりだ。「気のいいアヒル」「メダカの兄弟」「こいのぼり」「ぞうさん」 。


ちゃん・どん・どん! ちゃん・どん・どん! ちゃん・どん・どん! 
ちゃん・どん・どん! ちゃん・どん・どん! ちゃん・どん・どん! 
ちゃん・どん・どん! ちゃん・どん・どん! ちゃん・どん・どん! 
ちゃん・どん・どん! ちゃん・どん・どん! ちゃん・どん・どん!


戸惑いながらも初心者Rさんは、竹に挟まれないよう片足ずつ交互にステップを踏む。

とてもじゃないがクラシックバレエとは思えない原始的な動き、単調なリズム、あわただしいステップ。

買ったばかりのバレエシューズを竹竿が切り裂く。スリル満点、ステップとリズムの南国パラダイス♪

こっそりレッスン風景を激写した。特別にお見せしよう。これだ。


イギリス人の先生は、息を切らしてへたりこんでいる生徒3名に言う。

私が使用している竹は、そんじょそこらの竹ではありません。

伊豆高原は「たけのこ村」で真っ正直に育った7年モノの逸品です。熟成モルト・バンブー。

それを伊東の海に7年沈めてアクを抜き、さらに5年間ていねいに天日干し。気の遠くなるような作業でした。

だから、だから、音が違います。手触りが違います。足を挟んだときの激痛が違います。骨折または死亡。


なんだ、バンブーダンスかとお嘆きのアナタ。バカにしてはいけない。何事も好事魔多し。

噂を聞きつけた近所のオバサンたちが、バンブーダンスの魅力にとりつかれた。

それもそのはずバンブーダンスには、こんな効果がある。

健康・美容・ダイエット、食欲増進・ゴハンがおいしい、なぜか竹が好きになる、などなど。

そりゃ、もう、いいことづくめ。土屋タケさん(68)と日吉ミチヨさん(72)は、

ダンスのおかげですっかり若返ってしまい、ほれ、この通り。美容整形外科いらず。

いまでは伊東のあちこちで、こんな光景が見受けられるようになった。バンブーダンスの町・伊東!

流行に後れまいと消防団青年部も、ひそかに練習を始めたと聞いている。

合言葉は「バンブー踊って、人命救助!」

彼らは、めまぐるしく動く竹竿の向こうに、燃えさかる火事の現場を見ているのかもしれない。


一方、こうした風潮をおもしろく思わない人々もいる。

青年商工会議所のみなさんだ。彼らは伊東に古くからあるダンスの信奉者である。

つまり伝統芸能の伝承者であり、古典ダンス保存委員会のメンバーだ。


話は120年ほど前にさかのぼる。

総務部・佐藤クン(32)のヒイおじいちゃんが、バリ島へ観光視察に出かけた際、

あるダンスに感動して伊東にも広めたいと思ったのが発端だ。

そう、有名なこのダンス! れっつ・だんす! 

♪ケチャケチャケチャケチャケチャケチャケチャケチャケチャケチャ♪
♪ケチャケチャケチャケチャケチャケチャケチャケチャケチャケチャ♪
♪ケチャケチャケチャケチャケチャケチャケチャケチャケチャケチャ♪
♪ケチャケチャケチャケチャケチャケチャケチャケチャケチャケチャ♪
♪ケチャケチャケチャケチャケチャケチャケチャケチャケチャケチャ♪

手に手にケチャップを持って踊りまくる、ケチャップ・ダンス。別名カゴメ踊り。

最後になりましたがバンブーダンスの先生を紹介します。竹竿、肌身離さず。松川にて撮影



★本日の結論

Rさん、バレエが上手になったら白鳥の湖でボートに乗りませんか。

チュチュ着て行きます。



inserted by FC2 system