●1月24日 雪だるま 日曜日の昼から降り始めた雪が少し積もった。 いつものように市街地は雨で伊豆高原だけが雪。伊豆の豪雪地帯! 雪国の人は、せせら笑うかもしれないが、積雪2-3cmでした。 こんなんじゃ、雪だるまも作れません。とほほ♪ ● 昔、東京に大雪が降ったことがある。何年前だったろうか。忘れた。 けっこうな積雪に首都圏は大混乱。通勤もままならず、喜ぶのは子供と犬だけ。 いや、もうひとり、雪を見て大喜びした男がいた。 近所に住んでいた青年、アワイドゥ・ムバラク君だ。 彼はエジプトからの留学生で、建築工学を学ぶために日本にやってきた。 雪のない国からやってきた男は、子供のようにはしゃいでいた。 おお、すのう! わんだふる! びゅーてぃふる! 雪がふる! べりー・えっくせれんと! それはもう大喜びしていた。そこで、彼に言った。
いいえ、私はひとつの雪だるまを作る事が不可能なひとりのエジプト男です ぴりおど あのさ、普通にしゃべるように。もっと気楽に話してくれたまえよ。 では、男場に甘えて(お言葉だと思われ)承知し増しyた。(yは不要だと思われ) 作ったことがないだろ、雪だるま? エジプトにはミイラと吉村作治先生しかいません。雪印は貴重な品々です。(印は不要) じゃ、いっしょに雪だるまを作ろう。雪を丸めて…。手が冷たくない? 手袋を貸そうか? ご意見無用ばい! 私は「つたん仮面」の末裔。世が世なら…。 次は雪だるまに炭で目鼻をつける。擬人化の手法。あんだすたん? おっけー牧場! ヒロシです。うまい茶碗蒸しを食べたいとです! これが目だろ、鼻だろ。バケツをのせて、お帽子♪ さ、できた! これが雪だるまだ。 おお、ゆき黙る、完成! 寒中労働、いっつ・こんぷりーと! ←注:黙る→だるま アワイドゥ・ムバラク君は、冷たくなった手に息を吹きかけながら笑っていた。 少し暖まると、また雪だるまをさわった。丸く、丸く、ていねいに何回も修正した。 うーさん、雪だるま、ナイスな思い出になるよ。ありがと、ありがと。 その後、彼は梅雨明けと同時にエジプトに帰って行った。 大雪の寒気が恋しい猛暑猛暑また猛暑の夏、ムバラク君から手紙が来た。 これです。以下、アラビア語の翻訳文です。
ムバラクです。しばらくです。なんtyって! 時下ますます御清栄のこととお喜び申し上げます。 いっしょに作った雪だるま、お元気ですかy。懐かしいメモリーです。 友人に雪だるまのことを話しても誰も信じません。雪の存在自体がまるで無知です。 恋をする少女のように儚くも切なく、もろくて強くて美しいy雪でした。(←くどい!) ああ、凍える指に暖かな吐息が愛しい。手編みの赤いマフラー、ユニクロの手袋。 備長炭の目鼻、ブリキのバケツ、太ったスノーマン。ああ、せいしゅん♪ うーさんには大変お世話になりました。別便にてお礼の品をお送りしました。ご笑納あれ。 ご自愛して暮らしなさyい。まずは御礼かたがたご挨拶まで。早々(←草々だと思われ) はるか埃及(エジプト}より。紅組がんばれ! ★差出人 アワイドゥ・ムバラクです。 3日後、ヤマトの国際クール便が到着。 厳重に梱包された木箱を開けると、予想したものが予想通り出てきた。 「雪だるまのミイラ」。防腐処理済み 気のいいエジプト青年は元気でやっているだろうか。 今朝、伊豆高原の淡雪で、キミのために小さな雪だるまを作りました。 あの大雪の午後、ムバラク君がノートに書いてくれたアラビア文字、大切に保存してありますよ。
あと2.3ヵ月もすれば、伊豆高原は桜吹雪の豪雪地帯になります。 ムバラク君、遊びにおいでよ。もう寒くないから。 |