●2005年11月16日:ミリオンダラー・ベイビー
監督クリント・イーストウッドの「ミリオンダラー・ベイビー」を観た。おもしろかった。ツボにくいくい来ました。
自分が育てた女性プロボクサー(ヒラリー・スワンク)に、
彼女が望む栄光ある死を与えた男(C・イーストウッド)は、
死せる魂を抱えてどこかに消えていく。死よりも残酷な罰を受け止めて。
「海を飛ぶ夢」よりも何倍も良かった。
同じ寝たきりでも女性ボクサーは、一度は舌を噛み切ったではないか。
28年間寝たきりであっても、口も舌も動かせる男が、
そんなにも強く死を願うならば、なぜ、舌を噛み切らなかったのか。
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短編「ミリオンダラー・ベイビー」の原作者はジェリー・ボイド。1930年カリフォルニア生まれ。
海軍除隊後、50歳近くなってからボクサーを志すが、その後トレーナー、カットマンに転じた。
1996年に心臓発作を起こしたのをきっかけに筆を執り、
2000年に70歳にして『ミリオンダラー・ベイビー』で作家デビューを飾った。
その2年後、カリフォルニア州トーランスの病院にて死去。享年72歳。
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極限まで生きた者にとって、死と生は同価値である。
死を選ぶことに逡巡する必要はない。
またそれを与えてあげることも極限の愛情である。
たとえ自分が死人以下になろうとも。
なーんてね。