●2005年11月18日:秋の色
サザンカが咲いた。ことしも白い花をつけた。「垣根の白バラ」と名付けて、ひとり悦に入っている。
その白は、夜明け前の露のよう。秘やかで、怜悧で、寡黙。
太陽が昇ると溶け落ちてしまいそうな垣根の白バラ。
謙虚な白、瞑想的な白、静寂の白、清廉の白、山茶花の白秋。
柿色。すばらしい柿暮色。
夕陽を浴びて光る豊饒の黄金色。
老いた葉の色合いがまた美しい。凄味さえある。
柿の身にすべてを捧げた一生であっても、何の悔いも残さず死んでいく。
疲弊しきった斑点を見よ。死を前にした一瞬の輝きを見よ。
最後の最後まで柿の実を案じるように寄り添ってはいるが、
今夜、ほんの少しでも冷たい風が吹けば、お別れだ。