●4月11日 水ようかん漁、解禁!
先週末、伊豆高原は桜満開。
まずまずの好天に恵まれ観光客がドッと押し寄せ、
あちこちで飲めや歌えのどんちゃん騒ぎが繰り広げられた。
一方、そんな喧噪をよそに伊豆の瞳・一碧湖では、
春の風物詩である「水ようかん漁」が解禁された。
江戸時代から伝わる素朴な伝統漁法ではあるが、
ベテラン漁師ともなると月間230トンの水揚げがあるという。
水ようかん漁は、ポッと出の素人には難しい。
小舟に片足をかけてバランスをとりながら、
竹で編んだ三角形の罠に、水ようかんをおびき寄せる。
もちろん、疑似餌や魚群探知機などは使用しない。
ほーい、ほい。水ようかんやーーーい♪
ほーい、ほい。水ようかんやーーーい♪
こうした独特の掛け声が、春の一碧湖に響き渡る。
すると、どうだ。
湖底で眠っていた水ようかんが、次々と水面近くに浮き上がってくるではないか。
そこをすかさず竹ヤリで突き刺す。
原始的な漁法だが、漁師たちは「竹ヤリで見せるぞヤマト魂!」と意気盛んだ。
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水ようかん漁のベテラン赤松重蔵さん(79)は語る。
今年は若い水ようかんの成長が早いので豊漁になりそうだぜ、べいびー!
でもヨォ、最近は地球温暖化の影響なのかナンなのか知らねーけど、
「双子の水ようかん」とか、
「水ようかんとフルーツゼリーの詰め合わせ」なんてのが捕れるんだじゃ。
昔ながらの真っ黒な水ようかんは、少なくなったような気がするな。
おとついだったかな?
「とってもおしゃれ!カラフル水ようかん」が水揚げされてヨォ。
30年にいちど捕れるかどうかって超高級品だぜ、べいびー!
セリに出したら天井知らずの高値がつくけど、市場には絶対に出さない。
こっそり湖に戻して、5倍の大きさになるまで待つ。20年はかかるな。
でよ、20年後に長女が嫁入りするだろ?
58歳で初婚。初婚だって、いいじゃん! 文句あるわけ?
そんときに花嫁道具として持たせるわけよ。
国宝級の水ようかんだ。向こう様はびっくりして倒れるわな。
20年物、ろまね・水ようかん・こんてぃ。伊豆ブルゴーニュ地方特産! えっへん!
4トントラックで運べるかどうか、そこがネックだな。
近頃はダイエットブームって言うのか?
そのことをヤツらも知ってるらしくて、けっこう甘さ控え目に育ってるから、
ご家族そろって、じゃんじゃん食べてもらいたいワケよ。
今年みたいに桜が遅れた年は、プリプリの水ようかんが捕れるんだじゃ。
一碧湖産の水ようかんを食ったら、もう他のは食えないよ。
カスピ海産のベルーガ水ようかんと較べても遜色ないもん。
ウソだと思うなら食べてみ。生まれたての水ようかん、ほれ、食べてみ。
おずおず顔を出した、幼い水ようかん
重蔵さんのご好意に甘えて、新鮮ピチピチの水ようかんをいただいた。
ナマで食しても大丈夫かと不安だったが、おお、なんと!
ふれっしゅ、ふれっしゅ! 水ようかんのおどり食い!
先ほどまで湖底で眠っていた、つるつる美肌の水ようかんを、ちゅるっと、食べる。
得も言われぬ上品な甘さが口中に広がる。
これぞ春の恵みだ。これぞ天使の甘味だ。これぞ伊豆の奇跡だ。
舌先でハネる新鮮な水ようかんが、初夏を告げている。
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一碧湖漁協からのお知らせ
水ようかんは、これからの季節に最適な食材です。
ちょっとした手みやげに、子供やOLのお三時に、お母さんの夕食前のおつまみに、
お父さんの酒の肴に、おばあさんの隠しオヤツに、ぴったりです。
入れ歯のおじいさんも安心してお召し上がりください。簡単に噛み切れます。
さらに社長さんの宴会料理のデザートに、愛人との懐石料理の前菜に、
はたまた、パエリアの具にするもよし、ラーメンによし、ウドンによし。
水ようかんの酒蒸し、水ようかんの野菜炒め、水ようかん丼(小鉢)など、
初夏の食卓に華やかな彩りを添えることでしょう。
あなたも一碧湖産の水ようかんをご賞味あれ。
いちど食べたら中毒になります。春夏秋冬・水ようかん。
通信販売もしておりますので、
詳しくは一碧湖漁協「水ようかん係」までメールにてお問い合わせください。
mizu-yokan.ippekiko@どこも.ne.じぇいぴー
ゴールデンウィーク期間中は、水ようかんのつかみ取り大会が開催されます。