●2005年5月13日 さいえんす・ふぃくしょん
中学生のとき「SFって何の略?」と友人に聞いたら「魚のフライ」と答えたバカがいた。
いまでもヤツのことが忘れられない。元気でいるだろうか。
S F = さいえんす・ふぃくしょん!
日本のSF入門編は、まず星新一のホンワカSF小説で心が温められ、
つづいて巨匠・小松左京の「日本沈没」などで、あわてふためき、
当時は文壇からバカにされつづけた筒井康隆の爆笑SF小説で卒倒する。
だいたいがこのパターンだった。
この3人からSFの洗礼を受けて世界に雄飛すると。これが常道でしたね。
なかには、いきなり「アーサー・C・クラーク」から入って、
「2001年宇宙の旅」を経験してしまい、迷妄・惑乱・混沌の極地をさまよう人もいるが。
私は、筒井康隆が大好きで大好きで、むさぼるように読みあさった。
たとえば、小松左京が「日本沈没」を発表して世間を騒がせているとき、
筒井康隆は「日本以外全部沈没」なんてモノをさらっと書いてしまう。
この人を天才と言わずして誰を言うのか。ええ、ええ?
なかでも好きなのが、絶対に忘れられない小説が、えーと、えーと…、あ、ごめん。
タイトルを忘れてしまった。でも内容は鮮明に覚えているので、かいつまんで。
ある男子高校生が大好きな彼女のことを想像して、毎晩、ナニをしている。パンツを下げて。
つまり、アレですね。淫らな妄想に耽って安い快楽を得ていると。セルフサービスで。
ところが、ある晩。いつものようにシゴいてたんですが、どうも様子がおかしい。
ピンクの霧が現れたかと思うと、そのなかに吸い込まれちゃった。
気づいたら彼は、大好きな彼女の家にいた! 瞬間的空間移動=テレポーテーション。
しかも、夕食真っ最中のテーブルの上に立っているではないか。
パンツをずり下げたまま仁王立ち。ナニを握りしめた状態で、恍惚の表情で…。
家族はびっくり仰天。彼女はもちろん、ママやパパも呆然呆然また呆然!
おばあちゃんは「現人神の出現」と勘違いして、ひれ伏して拝み始めたり。
結局、すったもんだあったけど、この二人はラブラブになると。そんなお話です。
私はコレを読んだとき、えらくリアルに感じた。ドキドキした。
だって、主人公とまったく同じようなことをしていたわけで、
クラスに同じように大好きな彼女がいたわけで、
空間移動できるなら、いますぐ飛んで行きたいと願った。
彼女の部屋に自由に行けたら(ちゃんとパンツを履いて)どんなに幸せだろうってね。
筒井康隆は「空想する楽しさ」を、とことん教えてくれた。
それも並の空想ではなく、突飛な、極限に近い「突飛な空想」をすることで、
毎日がどんなに愉しくなるかを教えてくれた。
あ、いま、小説のタイトルを思い出しました。
オナポーテーション。あは♪
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この夏、SF超大作映画が2本公開される。
ジョージ・ルーカスの「スター・ウォーズ エピソード3:シスの復讐」と、
スティーブン・スピルバーグの「宇宙戦争」だ。
ハリウッドの大御所ふたりが激突する真夏のスクリーン。ファンにはたまらん。
「スター・ウォーズ エピソード3」は、これが最終作だというし、
H・G・ウェルズ原作の「宇宙戦争」はリメイクだけど、
スピルバーグが久々にむちゃくちゃをやってくれそうで期待が持てる。
ところが、世の中には、ハナっからSFモノを相手にしない輩がいる。
まるっきり関心なし。観たくもないらしい。
なぜ興味がないのかと聞くと、
だって、ガキっくさいじゃん。
ルーカスもスピルバーグも、このひと言で片づけてしまう人々。
そりゃ、そうですけど。そんなことわかってますけど。
でも、でも、でもさ、
おいちゃん、それを言っちゃあ、おしまいよー!
と、私は寅さんになって抗議するが、相手は聞く耳を持たない。
つまんねぇー人たちだ。
SF=さいえんす・ふぃくしょん。フィクションなんだぜ。作り話、虚構、ウソっぱち。
極論すれば、芸術はすべてフィクションでしょ。わかってる?
つまり、魂の荒唐無稽。こんな素晴らしいものは他にないと思う。
リアルな世界も実におもしろいけど、荒唐無稽は、もっとおもしろい。
そこんとこ、わかってほしいんだけどなー。
ムリかな。ま、いいや。
こっちはこっちで、思いっ切り空想して遊びますから。
そっちはそっちで、思いっ切り現実して悩んでなさい。
★おしらせ1:オナポーテーションは、18歳未満限定のサービスだそうです。
★おしらせ2:蛍光灯を新しくして頑張っております。by ダース・ベイダー