●2005年6月6日:かたつむり
でんでんむしむし かたつむり
おまえのあたまは どこにある
つのだせ やりだせ あたまだせ
蝸牛と書いてカタツムリ。まいまい。でんでんむし。
らせん形の殻は、ほとんどが右巻きである。雌雄同体、卵生。
頭部から伸びる2本の触覚、うち長い方の先端に目がある(↑写真では右の触覚)。
普段は、薄暗く湿った場所を好むカタツムリだが、
夕方、なぜか日陰といえ寒暖計にしがみついていた。
ウチは毎日欠かさず日記をつけており、天候と気温(夕方5時)も記録している。
気温をチェックしようと寒暖計を見ると、ノソノソとカタツムリが歩いていた。
固い殻に反比例する軟体ばでぃ。
見た目がおとなしそうだからって、あまり触る気にはならない。
じろじろ見つめていたら目が合ったような気がした。気持ち悪い。
いや、ほんとうは気のいいヤツかもしれない。義理人情を重んじる男かもしれない。
つきあってみれば生涯の友と呼べる間柄になるかもしれない。
固い殻に包みこんだ堅実な人生観、軟体ばでぇのなかで躍動する先進の気風。
そんなものが上手に混じり合った、魅力的で、高潔な人格の持ち主かもしれない。
いや、そんなことはない。
見た目通りの粘液質で、小狡くて、のろまで、優柔不断で、猜疑心が強い。
そのくせ、逆ギレすると、ツノを出し、ヤリを出して、暴れまくる。
いつも電柱の陰からこちらを伺い、中傷のビラを駅前で配ったりする、イヤなやつ。
人は見かけによらないというが、カタツムリは、どうか。
約7分かかって、こいつは水銀柱のてっぺんに辿り着いた。
そして、ヤツは言った。
あのよ、オレは、ナメクジみたいに湿った性格でもなければ、
かといって、ヘビみたいに陰険でもないぜ。多少、ヌルヌルしてるけどよ。
どっちかっつーと、楽天的で、陽気で、のんびり屋タイプ。趣味はSLの撮影かな。
どうしても嫁が来ない長男(42歳)。それがオレだ。本名=かたつむり太郎。
なんで寒暖計に登ったかって?
オレって、いつも日陰の身じゃん。じめじめ、じとじと、ぬるぬる。
そんな生活にケリをつけて、正々堂々とお天道様の下で遊びたいわけよ。
ビシッと日光浴してさ、真っ黒に日焼けして、新庄になりたいわけよ。
西日本短大附属高校(福岡)卒業。181cm、76kg、A型、日本ハム。
腹筋を割りたいわけよ。ついでに歯を真っ白くしたいわけよ。
明るい太陽の下で、可愛いギャルたちとビーチバレーをやりたいわけよ。
いいだろ? カタツムリがシンジョーになっても。えすかるご・シンジョー。
そんでよう、将来は…。
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あ、カタツムリ・シンジョー君、ごめんね。風呂に入る時間だから失礼します。
話の途中なのに、ほんと、ごめん。つづきは明日聞くからさ。
とりあえず、アジサイの葉陰に帰ってください。
私は、まだカタツムリの性格を計りかねていた。
いずれにしても「粘り強いヤツ」ということは確かだが。
梅雨入り直前の夕暮れ。
6月6日月曜日。午後5時、気温22度。by 我が家の寒暖計(かたつむり付き)