●2006年1月20日:ふぁーぶる先生
ジャン・アンリ・ファーブル。虫嫌いの人も虫マニアの人も誰もが知っている生物学者ファーブル先生。
ファーブルは、自分の研究した昆虫について、学術論文ではなく、読み物の形で世に送り出した。
堅っ苦しい文章ではなく、子供でも楽しく読める「昆虫記」にノーベル文学賞を!
そんな声もあがったほど「昆虫記」は、おもしろい。
しかし、問題もあった。彼はときどき嘘を書いたらしい。
見ていないこと、想像したことを、あたかも見たかのように書いてしまうのだ。
それでもファーブル先生の研究は世界中から認められている。人徳だなー。
全10巻からなる「昆虫記」の初巻が上梓されたのは、なんとファーブル54歳のときだ。
全巻の執筆には、それからさらに30年かかった。
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そして、昨年11月。
ファーブルの生家から320mほど離れた納屋から「昆虫記の別冊付録」が発見された。
おお、付録があったのか! 世界中の昆虫学者は驚きを隠そうとしたが隠せなかった。
発見者である主婦ジャンヌ・モロ・諸岡さん(37)が、おそるおそる本を開くとメモがあった。
まさしくファーブル先生の直筆で、こう書いてあった。
どうもご無沙汰してました。ファーブルです。この別冊付録には、ほんとうに珍しい昆虫だけを掲載してありますが、
動物学者たちは、あまりにも不思議で奇っ怪な昆虫を見て、
こんな昆虫、いるわけない!
と、誰も信じなかったのです。
私の家族も、町内の人々も、バスを待つ老人も、誰も信じませんでした。
結局、「別冊付録」は世間に出ることなく納屋の天井に隠したのです。封印。
そりゃー、私は、まだ見てない昆虫のことや、想像上の生態など、
実際に見たかのように書いたこともありましたよ。すんません。
だから、ごめんて言ってんじゃん。素直に謝ってんじゃん。
出来心だって言ってんじゃん。土下座してんじゃん。
そりゃー、ウケるためにネタ話をしたこともありますよ。縁の下で産まれたキリンは、背が伸びないので仲間はずれにされる、とか。
そのコンプレックスをバネに、ビール業界でシェアNo.1をめざすんだ、とか。
ハゲアタマを、あなたの唇に飛ばします。
これがほんとの、ハゲキッス、とか…。by のぐち
大相撲の行司が言うんです。ハッゲよい、残った、残った!
残ってねーって! 少ししか! たくもう! byのぐち
でも、刑事さん、「物語をふくらます」ことは、そんなに悪いことでしょうか?東証が取引停止になるような大袈裟なことではないと思います。
そもそもあれはホリエモンが悪いんじゃなくて、
東証の脆弱なシステムに問題があったんですよね?
そこをほったらかしといて、何もかもホリエモンのせいにしている。
そりゃー、ないよ。刑事さんもそう思うでしょ?
でしょ? でしょ? でしょ?
昆虫記は「生物学の資料」であると同時に「昆虫の物語」でもあるのです。
物語であるからには読者に楽しんでほしい。にこにこ笑ってほしいんです。
小さな笑いが、大きな幸せを作る。私はそう信じています。
さあ、見てください。昆虫記の別冊付録を!
現実にこうした昆虫が存在するのです。ウソじゃありません。
この別冊付録を加えることにより「昆虫記」は完結します。
昆虫記・完全版! ディレクターズ・カット!
新たに発見された「別冊付録」には驚くべき写真が掲載されていた。誰も見たことがない、信じがたい、新種の昆虫が…。
なかでも「セミサイの幼虫」と「しまうまバッタ」は、
奇跡の動物と言われており絶滅危惧種でもある。
やはり、ファーブル先生は、たいしたもんです。
ときどきホラを吹くけど、こんな昆虫を見つけて来るんだから。