●12月05日 大事件、凶暴なクマを捕獲!
伊豆高原には野生動物が多い。
イノシシ、シカ、タヌキ、リス、野良猫、野良犬、野良老人はもちろんのこと、
エゾジカ、エゾリス、エゾモモンガ、キタキツネ、ユキウサギ、ゴマフアザラシなど、ありとあらゆる動物がいる。
たまに、ごくたまに、シロナガスクジラの家族や、子連れの安達祐実、緒形拳を連れた緒形直人とか、
あるいは、シャケをくわえたキリンを目撃することもあり、伊豆高原は別名「野生の王国」とも言われている。
さて、昨日のことだ。
野生の王国に大事件が起こった。
何の特長もない平凡すぎる12月4日(月)。
午前10時頃、伊東市富戸町の奥山神社で、クマが木の上で暴れているのが見つかった。
通報を受けた消防団や警察が緊急出動し、凶暴なクマを追い払おうとしたが、木にしがみついたまま動こうとしない。
へたに手を出して、興奮したクマが人間を襲ったりしたら、えらいことだ。
そこで安全策をとり、伊東漁協の協力を得て、大木の下に定置網を張り、クマをつつき落として捕獲する作戦をとった。
最近、伊豆高原では、餌不足のためか人里に下りて、人間を襲う人食いクマが増えており、
市消防局は村人に警戒するよう呼びかけていた矢先のことだ。
さあ、準備万端♪
伊東市福祉課のベテラン職員がクマを竹竿でつついて落とそうとしたが失敗。
伊東市水道課のベテラン職員がクマに放水して落とそうとしたが、これまた失敗。
つづいてスズメバチ駆除のプロが、強力な殺虫剤を吹きかけたが、これも効果なし。
そこで消防車のはしごを使ってハンターがクマに近づき、麻酔銃を撃った。
麻酔銃は3発当たったが、凶暴なクマは頂上付近の枝に登り、しがみついたまま笑っている…。
あれだけの麻酔も効かないとは、何てヤツだ! 麻酔なしの手術か? すごく痛いぞ!・・・・と村民はびっくり仰天。
しかし、驚いてばかりはいられない。村人は一致団結した。
大人87人+子供27人がかりで、枝を引っ張り、木を揺らしたが、
クマは落ちるどころか余裕の表情を浮かべている。
いよいよ、クレーン車の登場だ。
木の上まで近づき、ロープを使って捕縛する作戦に切り替えた。
しかし、この辺りは農業用地で地盤がゆるく、クレーンがなかなか前に進まない。
それでも粘り強く前進をつづけた結果、なんとか現場直下に到着したが、
クマを捕獲するには周囲の枝を切り落とす作業から始めなくてはならなかった。
時間切れ。捕獲作業は翌日に持ち越された。
クマ捕獲に向かう猟友会メンバー
12月5日。
村人が捕獲作戦を見守るなか、枝を取り除き、ロープを持った猟友会のメンバーがクマに接近!
さすがに衰弱して動きが鈍くなったクマは、必死に抵抗したが、どうにか首にロープを巻きつけた。
午後3時10分、捕獲成功! 事件発生から約29時間後のことだった。
クマを捕獲した猟友会メンバーの大沼富士夫さん(43)は、
ちょー高いところでの作業だったので、ちょーおっかなかったけど、
ちょー助けてあげたい一心で、ちょー頑張ったわけよ。
下に落とさないで、マジ良かったわけよ。マジやれやれさ・・・と語った。
ところが、事件は終わらなかった。
捕獲されたクマを調べてみると、なんと、ぬいぐるみだったことが判明した。
調べによると、捕獲されたクマの正体は、仙田泊太郎さん(83)。
仙田さんは、伊豆高原在住の独り暮らしの老人で、冬眠前にたっぷり食いだめしようと、
柿の実ほしさに木登りしたのはいいが、食べ過ぎて下りるに下りられなくなったということだ。
仙田さんの談話
どうせならよぉ、クマの気持ちになって柿を食べたいと思ってよぉ。
孫が学芸会のときに使った、クマのぬいぐるみを着てさ、木に登ったわけよ。
そしたら、いきなり麻酔銃で撃ちやがるわ、木を揺するわ、ロープをかけるわ、首は苦しいわ、
解体して食べようぜ♪とか言うヤツがいるわ、ンたく、冗談じゃねーよ!
もうちょいで死ぬとこだったぜ。
次回はパンダのぬいぐるみを着たいと語る仙田さん
今年は深刻な餌不足で、人里に下りてくる凶暴なツキノワ老人が数多く目撃されている。
くれぐれも目を合わせたり、午後のお茶に誘ったりしないよう注意してほしいとのことだ。
それにしても人騒がせな老人がいたものである。
こんな人が老人会の副会長かと思うと本当に情けない。
近所の住民は、いったい何を信じればいいのかと口々に不安を訴えていた。