まえ  つぎ  日記INDEX
4月15日:白い犬、かんばっく♪


な、な、なんと!

みなさん、ご心配をおかけしました。

ティールーム「赤い屋根」の「白い犬」が帰って参りました。

伊東漁港で昼寝していたところを親切な漁師に保護されたそうです。

ほっ。やれやれ。これにて一件落着、ぽん!

↓ 15日の伊豆新聞に掲載された「赤い屋根」のお礼広告です。ご丁寧。


犬の名前は「白い壁」ではなくて、「まる」っていうんですね。へえー。

それにしても無事に生還して良かった。

ひとつ間違えば死亡記事になるところだったのに。

それを見越したのか「まる帰宅」広告の左側は、墓石26万円より見積り無料。

下は葬儀屋で、市内最安価、良心的施行、信用第一の専門店である。

右側は桜並木にある「てんぷら・ゆき文」。法事のお料理=地魚刺身定食1050円。

ま、偶然だと思うけど。

謎の失踪犬「まる」の謝罪会見が今夕5時から「赤い屋根」で行われた。

行方不明だった3日間、いったい彼女に何があったのか。

生きることに疲れたのか、体力の限界か、金より愛を選択したのか。

よくありがちなマダラ記憶喪失か、果たして失踪理由とは何か。

謎が謎を呼び、憶測は憶測を呼んだ。


★「まる帰宅」謝罪記者会見


あー、あー。

ただいまマイクのテスト中、ただいまマイクのテスト中。

あー、あー、あー。


MC:

極秘お泊まり愛の現場を女性週刊誌にすっぱ抜かれ、

激怒したプロダクションのオニ社長に、ふたりの仲を引き裂かれた「まるちゃん」。

叶わぬ恋の幻影を求めて温暖な伊豆へ悲しみの逃避行…。

詰めかけた取材陣、猛り狂うフラッシュ、迫り来る閃光、

殺気立った記者の質問、会場は早くも大荒れ。



ってことは彼と別れたんですか? そう理解していいんですね。


泣いてないで何か言ってくださいよ、小柳さん! 賢也クンは家を出たんでしょ?


赤ちゃんは産むんですか? 名前は決めたんですか? 男と女、どっちがいいですか?


その婚約指輪、何カラットですか? プロポーズはどちらからですか?


どんな家庭を築きたいですか? 結婚したら仕事はやめるんですか?


雪山をナメたんじゃないですか? そんな軽装備で入山するなんて無茶ですよ!


温泉の素を入れたんでしょ? ね、ね? 乳白色はウソですね?


オダギリ・ジョーって旬だから 「たけのこ・ジョー」に改名したらどうですか?

↑タカちゃんよりメール。

旬だから「たけのこ・ジョー」かよ? くさかんむり、ないじゃん! 筍、筍、筍・ジョー。



ほしの・あき(28歳)。彼女、ぐわんばって、ほしいのあき… なんちゃって。


ヒント:ネッシーの親戚です。この人は、誰ですか? 


親子の正確な比率を答えなさい。倍率の問題です。


あ、ナシモトです。恐縮です。


あ、コーモトです。次長課長です。


お相手の方は、ウド鈴木ですか?


どうするぅぅぅ〜〜〜〜 アイフル?


残念ながら明確な失踪理由を聞くことはできなかった。

しかし、これだけは言える。

伊東漁港で「まるちゃん」を発見保護した男は、伝説の伊豆漁師である。

漁船「伊豆高原日記丸」のイシハラ・うー次郎船長その人だ。←言い回しが古っくさい!


彼は日本から中国への密入国者を支援している。

中国で働き日本へ送金して家計を助ける、貧しい家の少女たち。いわゆる民子、民工さん。

そんな密航者のために、彼は野麦峠を越える危険な手伝いをしている。

むろん、違法はまっぴら承知の助だ。

イシハラ・うー次郎船長は、伊豆のチウネさんである。ほら、あの千畝さんです。


白い犬「まるちゃん」失踪事件の鍵を握るのは、どうやらイシハラ・うー次郎船長かもしれない。

我々は、うー次郎船長に取材を申し込んだが、昨日、中国に向けて出港したという。

ざむねん、ざむねん!

と、そこに古い友人だと名乗る男がメモを渡してくれた。

うー次郎船長の文字で、こう書いてあった。


夜霧よ、今夜もありがとう。



ちなみに、うー次郎船長の古い友人とは、

イカ釣り漁船「あぽろ11号」のアームストロング船長である。

確かに腕っ節は強い。名は体を表す。

彼はうー次郎船長を慕って日本に帰化した。

名前を渡哲也に変えた。


渡は、伊豆でイカ釣り漁を始めようと思ったが肝心の船がなかった。

そこで、太っ腹・うー次郎が舟をプレゼントした。

「渡りに舟」の語源はここから生まれた。


渡船長は一生懸命働いた。来る日も来る日もイカを釣った。

イカ釣り三昧の日々だった。よく晴れた朝、船長は気づいた。

身体がイカ臭い! くっせーー! 石鹸でごしごし洗った。

ところが染みついたイカ臭は、洗っても洗っても落ちなかった。

いくら石鹸で洗っても消えない臭いがあるんだぜ。そう、人生の臭いってやつさ。

そこで渡船長は、イカの臭いだけが落ちるオリジナル石鹸を開発した。

世界のイカ釣り漁師に喜ばれた。世界中の漁師が涙した。


そして、この話が映画化されることになった。

数奇な運命を歩むアームストロング船長こと渡哲也。

脚本・橋田壽賀子、主演・えなりかずき(渡哲也)、トム・ハンクス(アームストロング船長)。

感動のヒューマンドラマ・「渡り石鹸はイカばかり」。


こうして、喫茶店・赤い屋根の「白い犬失踪事件」は大団円を迎えた。

終わり良ければすべて良し。

めでたし、めでたし。

ハッピーエンドでございます。


劇終



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