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●7月10日:月曜日、午後の散歩
長年、使い込んだ筆は、先が開いて、ばさら、ばさら。 お気に入りの薄桃色の絵の具は、洗っても洗っても落ちない。 水彩の筆を想わせる合歓の花は、 7月後半になると開花が途絶えるが、8月になると再び咲き始め、盛夏を彩る。葉は、オジギソウに似ているが、触っただけでは閉じない。 夜になるとゆっくり自分から閉じる。 まぶたを静かに閉じて眠るように見えることから、 ねんねの木、眠りの木、ねむの木、日暮らしの木と呼ばれる。 ● 樹木から樹木へ、電線から電線へ、空中を渡り歩く小さな旅人。 悩ましい薄桃色の花に包まれた合歓の木をかすめて電線が走っている。 見上げると台湾リスが電線を渡り、合歓の木の前で小休止していた。 私の視線に気づいたリスは、下品なダミ声で私を威嚇する。 くわ、くわっ、くわ! かっ、かわっ、かっ! ぐわgふわぐわぐwがうwぐあーーーーー! くわ、くわっ、くわ! かっ、かわっ、かっ! ぐわgふわぐわぐwがうwぐあーーーーー! くわ、くわっ、くわ! かっ、かわっ、かっ! ぐわgふわぐわぐwがうwぐあーーーーー!
CATVのケーブルを囓り、大切な桜の木々や芽を食い荒らし、 伊豆在住3年以内の人なら一度は体験する、家庭菜園の苗を、なぎ倒し、食いちぎり、 挙げ句の果てに、留守をいいことに、土足でずかずか上がり込み、 冷蔵庫に隠しておいた、アイスクリームやプリンを勝手に食べてしまう。 さらには「イベリコ豚」や「紅の豚」を平気で盗み食いするお前は、飢えたオオカミ! ←リス、リス…
顔つきが荒々しい、刺々しい。全身から暴力の匂いがする。ヤクザ系の方? いや、たとえそうであっても、それが何だと言うんだ。 相手が組員であっても、準構成員であっても、フロント企業であろうと、はたまた幹部であろうとも、 私はヤクザ・リスなんぞに脅されて引き下がる弱虫ではない!
電線上にいる台湾リスは、相変わらず私を睨んでいる。 誰からも好かれる、その仕草、その容姿。 リスが怖いとか大嫌いという人はあまりいないが、 私はリスを見るたびに「坂下千里子」を連想する。
取り柄は美脚です。美脚ストッキング・フェチからの熱視線、ビュンビュン! デビュー当時は、世間知らずのお嬢さんを演じていたが、 すっかりメッキが剥がれて、凶悪な光りを宿すあの目つきが本性を物語る。 でもね、どんなに性悪でも、美脚ならキミのことが好きさ♪ 芸能界は性格なんて関係ないもん。しぶとく生き残ったモノが勝ち。
このメスブタ! って怒鳴られて泣いたとか。 いまどき、メスブタって古くね、梨花? この、ドロボー猫!ってのも古いけど。
あいつだって、梨花だって、大口開けて騒ぎまくって、ナニ様だっつーのよ! 彼女のほうが、よっぽどブタじゃん! 死んじゃえばい、いいのに。 by 千里子
伊豆高原の組員リスなど問題にならない。 ● ジネディーヌ・ジダン。 1972年6月23日、マルセイユ生まれ。 決勝のイタリア戦で、マテラッツィに強烈な頭突きをかまして一発退場。 引退試合のフィナーレを、誰もが唖然とするような暴力で締めくくったが、 10分間もピッチに横たわっていた、クサい中田より、はるかに小気味がいい。 レッドカードだろうと何だろうと、フランスが負けようがどうしようが、 W杯の決勝だろうがなんだろうが、頭突きで私憤を晴らしたジダン。 私は、こういうアホくさい幕切れが好きだ。 ありきたりの涙や安っぽい感動、武田鉄矢みたいな田舎っくさいモノは不要だ。 アルジェリア移民の二世が、フランスのサッカーをここまで導き、チームの背骨となってピッチを走り回ったが、 最後の最後、赤紙一枚、即退場! スタジアムのファンに感謝の言葉もなく即退場! ナイス! こんなおもしろい男は、いない。 2006年W杯ドイツ大会のMVPは、「薄毛の将軍 ジネディーヌ・ジダン」。 ヤツの後頭部には神が宿っている。 ●
W杯が終わった夕方、今年はじめてヒグラシが鳴いた。蝉の初音。 台風3号が北上しつづけてテポドン2号を湿気らせた。じゅっ。 梔子(くちなし)の白い花が、強い香りをばらまいている。 合歓の花、梔子の芳香、ヒグラシ、Tシャツ、生ビール、風鈴、日傘。 小暑が過ぎると、真夏が弾けるまで、あと少し。 |