9月10日:照柿


ものすごい残暑!

午後2時、テラスの温度計が34℃を指している。ほんとか。

伊豆高原の空気が、めらめら、とろとろ、溶け出している。

高村薫の「照柿」という小説を思い出す暑さだ。

溶鉱炉のなかで燃え溶けて、とろとろに流れ出る、超高熱の鉄色を「照柿」という。

熟した柿が熱を帯びた残照に映える、あの色。照柿。

大袈裟に言えば、そんな色の午後だった。

初秋に迷い込んだ劇暑、舞い戻ってきた場違いな夏地獄、あるいは居残り「真夏日」佐平次は、

自分たちが歓迎されてないことを心得ているらしく、夕方になると秋の虫と入れ替わりに、さっと姿を消した。


★読書:高村薫の「照柿」が」文庫化されて売れている。

この人の傑作はやはり「マークスの山」で、次に「レディ・ジョーカー」が好きだ。

かつてのライバル・宮部みゆきの最新作「名もなき毒」が不評。名人も夏バテですかい?

こんな本が売れている。知ってましたか?

カルロス・ルイス・サフォン「風の影」。世界37ヶ国、500万人が熱狂だって。チェックしよ。

マイクル・コナリーの「天使と罪の町」も、ちょいと期待したい。

この人の「暗く聖なる夜」はおもしろかった。文句なし。久々のハードボイルドの傑作。

惜しくも第24回日本冒険小説協会・外国部門大賞を、

ジェームズ・カルロス・ブレイクの「無頼の掟」に譲ったが、僅差だったと思う。


★音楽:iPod&iTunes

最近、ほとんど音楽を聴かない。

ドライブや散歩の必携アイテムだったiPodすら持ち歩かない。ありゃりゃん。

なんだか知らないが「無音」または「自然音」の状態が気持ちいい。

そうは言っても行楽の秋、ロングドライブの予定があるのでiTunesのストアを覗いたら、

クレージーケンバンドの最新アルバム「GALAXY」が9月20日発売とのこと。

その前に12インチ限定アナログLPを発売だって。なんじゃ、それ!

傑作CDとか言うんなら余計なモノは売らないで、9月20日の新作CDだけで勝負すりゃいいじゃん。

ま、いまどきCDなんか誰も買わないでダウンロードするだろうけどね。


去年あたりからCKBはいわゆる「売りBAND」になってしまった。

剣さんは嫌いじゃないけど、どうもね…。

プレビューされた新曲を視聴したけど、いつも通りのメロに歌詞。新鮮味&興奮度ゼロ。

数あるストックから、ちょいと色を変えて放出しましたって雰囲気がぷんぷん。

第一、涼しくなってからギャラクシーとかAMANOGAWAとか言われてもなー。

「秋になっちゃった」とかいう曲でごまかしてもダメだよ、剣さん。

私が知っているヨコハマ・ヨコスカの古い古いCKBファンもまた、冷ややかな目で成り行きを見守るだけ。

グッバイ、CKB♪ 


ボブ・ディランは走り続ける!

若い人は知らないだろうが、ボブ・ディランは神様だった。

とうに還暦を過ぎて65歳になった彼のニューアルバムが売れている。

ニールセン・サウンドスキャンが6日発表したアルバムチャートによると、

フォークロック界の大御所ボブ・ディランの新作「モダン・タイムズ」が初登場1位を獲得した。

「欲望」(1976年)以来30年ぶりの首位返り咲きだ。

注)ライナーノーツを書いている「菅野ヘッケル」氏、この人はいいよ。


彼の映画「ノー・ディレクションホーム」がDVDになった。

監督マーティン・スコセッシとボブ・ディランが四つに組んだドキュメンタリーフィルム。

今は亡き詩人アレン・ギンズバーグを見るだけでも価値のある映画だ。

65歳にしてまだ歌い続ける男、ボブ・ディラン。

「ライク・ア・ローリングストーン」は「風に吹かれて」転がり続けるだけではない。

ナイフのような「自由の瞳」を輝かせて、いまなおすっくと時代の前に立っている。


かつて、ベトナム反戦運動が沸き上がった時代に、ボブ・ディランがいた。

時代は巡り、アメリカはイラク派兵反対運動が盛り上がっている。

ふたたび神様は歌う。

「いつも悲しむ男」として「戦争の親玉」を憎悪する。




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