まえ   つぎ   日記


2007年7月26日 夏の風物詩・打ち湯



夏の風物詩「打ち湯」がはじまる


庭や道路などに水を撒いて、涼気を取る「打ち水」は、昔からの日本の風習である。

打ち水には、埃を抑える効果もあり、夏場は見た目にも涼しく感じる。


これをふまえて。

26日、伊東市では恒例の夏休み観光イベント「打ち湯」が行われた。

「打ち湯」とは、水の代わり熱湯をかけて涼感を楽しむ、温泉の本場・伊豆ならではの夏の行事だ。

5年前、源泉の掛け流しは資源の無駄遣いではないか!との批判が数多く寄せられたことから、

温泉の二次的活用を模索していた、伊豆観光イベント協会の発案により始まった。

以来、「涼しい伊豆の夏」をお届けする「打ち湯」は、夏の風物詩として市民や観光客に親しまれている。

楽しそうに打ち湯する市民


「打ち湯」最大の見せ場は、豪快かつ勇壮な「伊東市内どこでも打ち湯」である。

これは気温が最も上昇する午後2時頃、消防署の打ち湯ポンプ車27台が出動して、

市内すべての道路や空き地、小中学校の校庭&プール、公園・緑地、商店街、個人の家屋や庭などに、

100℃近い源泉を、これでもか、これでもかと、たっぷりまきちらかす。

この時間帯に火事は一件もない! と消防士の仙田政夫さんは自慢そうに笑った。


「池の鯉が熱湯で苦しんでいる」とか「散歩中のイヌが大やけどした」などの苦情もあるにはあるが、

「温泉タマゴができたのでうれしい♪」「雑草が枯れて助かった♪」「肩こりが治った♪」、

「学校のプールが温泉プールになった」「結婚できた♪」「宝くじをひろった♪」などの歓びの声が圧倒的だ。

いまや伊東の夏の風物詩として親しまれている「打ち湯」。

涼感たっぷりなイベントに観光客の評判も上々のようだ。

打ち湯は、100%天然温泉を使用しているので、地球環境にもやさしい。

地球温暖化はもとより都市部のヒートアイランド現象の緩和、二酸化炭素の抑制、

オゾン層や森林破壊を食い止め、野菜の無農薬化を促進し、砂漠化や人口問題を解決し、

やけどを恐れて逃げまどう老人たちの危機回避能力を高め、前頭葉を刺激し、ボケを防止するという。

さらには道路にしみ込んだお湯は、半年もするとガソリンに変化するなど、循環型無尽蔵エネルギーとして注目されている。


環境意識の高まりもあって、風呂の残り湯を玄関や庭にまいて涼を取る、「家庭打ち湯」をする人が増えている。

IUA(伊東打ち湯協会)によると、温度が高ければ高いほど、地球にやさしいことが証明されたため、

競って高温のお湯で打ち湯する家庭が増えていることから、

カインズグループでは、絶対に湯が冷めない(97℃キープ)特別な「打ち湯専用・保温桶」を販売する。


楽しそうに打ち湯する萌えギャル


ポンプ車による激しい打ち湯に感動している仙田さん親子


真冬の打ち湯修行(現在は行われていない)


地球環境への貢献、温泉資源の有効活用、「按針祭」に次ぐ観光イベントの超目玉になるなど、

「打ち湯」はいいことづくめだと思われているが、実はそうでもないらしい。


気象庁によると、「打ち湯」が行われる7〜8月の伊東市内は、極端に気温が上昇することがわかった。

大型旅館では、団体客のために用意したスワンの氷像が溶けだして全館水浸し。床面が1メートル以上も上昇した。

このまま氷が溶けつづければ、地球温暖化どころか伊豆半島が水没するおそれがあるという。

国道136号線の道路陥没も「打ち湯」の影響ではないかと心配する人がいる。


そんな伊豆半島では「打ち湯」を始めて以来、酸性雨ならぬ酸性湯が急激に増加した。

「最近、お湯が酸っぱくて困る。クルマや洗濯物の汚れがひどい!」などの苦情が多いという。

かと思えば酸性湯を「味ぽん・ミツカン湯」として販売する、商魂たくましい人もいて市観光課では対応に苦慮している。


「打ち湯」による影響が拡大する可能性があることから、「伊東市だけ超々温暖化現象・高温対策本部」が設置された。

このまま何の対策もなしに「打ち湯」を続けると、伊東市は蒸発してしまうという。



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