1998年1月。伊豆高原は雪だらけ。とほほ


1月12日、15日。伊豆高原に雪が降る。10cm以上も積もる。驚いた。

こんなことを書くと北国の人に大笑いされそうだが、雪は、雪である。

このへんは急な坂道が多いのでクルマが使えなくなる。タイヤもノーマルだしね。

そこで家からバス通りまでの100mを3人で雪かき。ラッセル車のようにやった。

汗だくだ。この道を使うのはウチのほかに2軒。喜んでもらえるかな。

雪景色は、いい。見慣れた風景が一変して気持ちがいい。すがすがしい。

成人の日。TVニュースでは、ハタチの女性が晴れ着姿で会場に向かう様子を映しだす。

雪の中、大変そう。なかには賢い人がいて長靴を履いている女性がいた。

きっと、お母さんが「友子ちゃん、足元あぶないから長靴にしなさい」。

「ええー、そんなあ。カッコ悪い。みんな、どうすんのかな? 聞いてみよう」。

携帯かけまくり「じゃ、さァ、仕方ないから私も会場まで長靴にする」。

ところが友人はだれも長靴なんか履いてこない。彼女は愕然とする。

みんな彼氏にクルマで会場まで送ってもらってるから、雪なんか全然、平気。

かくして長靴トモちゃん、ちょっぴり苦い人生の船出となったわけであります。

しかし、私は、断固、友子さんを応援したい。カッコよりも実をとった彼女の勝ちだ。

ところで友子さんて、いったい誰ですか?

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それにしても「成人式」なんか必要があるのか。しかも自治体主催の…。

はるか昔、私は「成人式」の日、彼女と、ボーリングやって、喫茶店に行って、

ラーメンを食べたような記憶がある。誰からも祝福されなくても、楽しかった。

その彼女と、5年後、結婚することになるとは。人生、なにがあるか、わからない。

「とにかく「成人式」なんかに出席するヤツは、バカだと思っていた。

私がいちばん嫌いなのは「少年の心を持った大人」。この言葉を聞くと虫ずが走る。

だからいつまでも大人になりきれないんだ。そんなことで、いいのか?

ガキのままでいたいなら社会に出てくるなよ。ずうっとマンガ読んでなさいよ。

この頃から「ひきこもり」が増殖しはじめる。人間や社会とまともに渡り合えない、

相手の目を見て話せない、ナマの人間とつきあえない。そんな弱虫がウヨウヨ。

で、親は親で、甘やかし放題。親離れ・子離れしないベタベタ関係。もう、むちゃくちゃだ。

大人の世界には「グッとこらえねばならない我慢が星の数」ほどあるんだぜ。耐えられるか。

君たちのお父さん、そうやって働いているんだ。知ってるかい?

そんなことをボーと考えながら雪景色を眺めている私であった。ああ、ジジくさい。

★海に近い伊東の町には、雪がまったく降らなかったことが判明。ショック!
★1月27日。ヒイキにしていた作家・景山民夫、死亡。ショック!
●豆知識1:蝶のミドリシジミは「ゼルフィス」と言う。"そよ風の妖精”って意味なんだって。


2月。ジャンプ原田、涙、涙の大飛行。

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2月7日。ナガノで冬季五輪開幕である。娯楽の少ないウララカ家では、毎日テレビに釘付け。

夏のオリンピックに比べると地味な感じがして、あまり期待もしてなかったが、

これが、なかなかどうして、見れば見るほどハマル。おもしろい。

圧巻は、やはりジャンプの原田だろう。気をもたせて、もたせて、心配させて、

もうダメだ!と思わせた次の瞬間、不死鳥のように蘇る男、フェニックス原田。

日本人は、こういうドラマが好きだ。最後は、全員で大泣きである。

小さな巨人・清水もがんばった。勉強不足で「スケートの清水」について何も知らなかった。

岡崎朋美も知らない。私好みの美人である。さあ、応援するぞ。

ふたりとも鍛え上げたすごいフトモモ。まさに大腿筋の収集家。筋肉パワーの集積回路。

金メダル、銅メダル。おめでとう。表彰台のまん中に立つ清水。つかまった宇宙人みたいだったけど。

とにかくオランダの選手はでかい。パワーでリンクを走っている。

カナダ選手は、精密機械だ。寸分の狂いもなくコースを周回する。フォームが美しい。

道具も進化する。スラップスケート。道具とウェアの激烈な開発競争。

冬のスポーツは、もはや、肉体だけの鍛錬では勝てないらしい。

浅利慶太・演出による開会式はつまらなかったが、閉会式の花火はすごかった。さすが、日本の至芸。

★庭にモグラが出没して花壇を荒らしている。いちど見たモグラは、サングラスをしていなかった!
★「ノーパンしゃぶしゃぶ」の店が接待の場所として人気らしい。そんなもん楽しいか?
 

3月。夜が楽しい、トランプの春が来た。

冬季五輪が終わったのと当時に、伊豆高原は春めいてきた。

スノーフレーク、リビングストン・デージー、アネモネ、パンジー、ムスカリ、沈丁花、スノーフレーク、

白木蓮、アンズ、マリーゴールド、ランタナ、バーベナ、ミントベル、デモルフォセカ…。

春の庭は、いい香りがする。花梨の蕾はまだ固いまま。なかなかに頑固なやつだ。

さて、ウララカ家では、新しい遊びに夢中である。トランプである。カードである。

いつも遊びに来てくれるフクチ夫妻とはじめたのがヤミツキになってしまった。

大体がセブンブリッジ。3人で延々とやっている。スコアを付けて年間成績を記録することにした。

TVゲーム主流の時代にアナログなカード遊びは新鮮だ。午後7時、夕食を済ませると、即、はじめる。

最初は私の一人勝ち状態がつづいたが、そのうち妻&妹が盛り返してきた。

こういうゲームは実力が伯仲していないとつまらない。俄然、おもしろくなってきた。

これは、おもしろい!となると徹底的にやるのがウララカ家。飽きるまで、とことん、やる。

毎晩、毎晩、毎晩、毎晩、毎晩、毎晩、カードをシャッフルする音が聞こえる、春の宵。

ウララカ家を「カード・シャッフル症候群」に陥れた、そもそもの人、フクチ夫妻。

ご主人は、アートディレクターという仕事らしいが定かではない。ヒゲが似合う人だ。

その日本人離れした容貌には理由がある。アラブ首長国連邦の王族と日本人のハーフで、

本名は「西方路・アブドラ・ハジサン三世」。壮絶な名前だが、どうも、ほんとうらしい。

ウサマ・ビンラディンのそっくりさんと言えば、わかってもらえるだろうか。

アラブからオイルマネーが、じゃぶじゃぶ通帳に振り込まれているらしい。ああ、うらやましい。

なにしろ仕事らしい仕事をしているところを誰も見たことがないのだから。

私とは仕事の関係で知りあい、当時、大変お世話になった。だから友人と呼ぶには、おこがましいのだ。

またフクチ夫人は黒木瞳にそっくりの美人で料理上手。手作りのパンやケーキをいつも頂戴する。

伊豆の別荘に忘れた頃にフラリとやってくる。愛車は、まったく洗車しない旧型ベントレー。

ベントレーを、日常、下駄代わりに使う人。洗車しないで汚れたまま乗り回すセンス。勉強になる。

要するに、本物の金持ちは「金持ち」を感じさせない。むしろ地味なくらい。きらびやかはニセモノ。

彼女のお父さんは政界のフィクサーであり、日米講和条約の現場にいた人だ。

風の人・白州次郎の友人でもある。いまは引退してゴルフ三昧。強気な姿勢はあいかわらず。

タイガー・ウッズには飛距離で負けるが、パッティングでは勝つと豪語している。

ま、そんなプロフィールのフクチ夫妻が、ウララカ家にカード遊びを持ち込んだというわけだ。

超お金持ちがウーロン茶を飲みながらトランプで地味に遊ぶ春の宵である。気さくで、いい夫妻だ。

★甥っ子が遊びに来る。難関の志望高校にみごと合格。ご祝儀をはずむ。
★伊豆海洋公園。かつては無料だったが、いつのまにか有料。なぜなんだ?
★二年間使用した野鳥のえさ台が強風で破壊。新しいえさ台をハンドメイド。指をケガする。不器用。


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