まえ  つぎ  日記INDEX

●10月17日 気温15


くいっくいっと小気味いいテンポで秋が深まっている。

箱根名物・仙石原のススキが見頃を迎えた。

東伊豆・細野高原のススキも見頃、地元・大室山のススキも見頃。

どこもかしこも、ススキ、ススキ、ススキ、見頃、見頃、見頃。

もちろん、札幌ススキ野も、オミズなネェちゃんたちの見頃を迎えていることだろう。

ススキが終わると秋の夕日に照る山紅葉のシーズンだ。錦秋。

ススキや紅葉が人々を楽しませている陰で命を終えようとする秋の虫たち。

すずむし、こおろぎ、きりぎりす、まつむし、くつわむし、うまおい、かねたたき。

気温が15℃を切ると急に虫たちの鳴き声が弱まるという。まさに虫の息。

秋の気温もまたつるべ落とし。

本日午後10時・12℃。虫たちに決断を迫る気温である。

ついこの間まで秋の虫時雨だった庭は、やがて、しんと静まりかえり、

聞こえるのは枯葉が舞い落ちる寂しい音や、

冬を告げる西風の冷たい音だけになるだろう。

ゆく秋の冷え冷えとした夜、羽根をこする力もなくなり、ついには鳴くのをあきらめ、

星を見上げながら声を抑えて泣く虫たち。

あと2ヶ月もしたら私が大好きな一等星シリウスが夜空に君臨する。

全天一明るい星・シリウス。中国では天狼星という。冬の夜の青白き狼。

シリウスの語源は「焼き尽くすもの・光り輝くもの」を意味するギリシャ語セイリオスから来ている。

春・夏・秋をたっぷり堪能して、よく生きよく死んだ者たちの亡骸に、

夜空を冷たく焼き尽くす冷冷たる蒼い燦めきで祝福を与える星シリウス。

その青白い光りが庭に降り注ぎ、黒のフリースを重ね着する頃、伊豆高原にも本格的な冬が来る。



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