まえ  つぎ  日記INDEX
●2006年1月23日:好きな女性について


良い意味での二面性を持った人が好きですね。

ちょっと複雑で、しょーわるで、手強い人。

天使のまなざしと、悪魔の観察眼を持ち、洞察力に優れている。

ゆるやかに気持ちをほぐしてくれる穏和な炎を持っているが、

ひとつ間違うと長く間じくじく痛む低温火傷の熱源にもなる。

物事の真理や戦略を瞬時にして飲み込む聡明な氷を持っているが、

ひとつ間違うと弁明の機会すら与えないで凍死させる非情な氷刃にもなる。

蕩けるような笑顔が続いたあとに、予告なしに残酷な言葉を放つが、

普段はいたって呑気に鼻に薄くシワを寄せてケラケラ笑っている。


肥えた舌で自慢の手料理を味見するときの会心の微笑みと、

相手をとことん追い詰めて舌なめずりしているときの微笑み。

キレのいいボケと、シャープなツッこみが、ものすごいスピードでできる反射神経と、

スタイルを崩さない少しの贅肉と、有り余るやさしさを持ち、

向上心いっぱいの器用で細い指と、誰よりも繊細で温かな手を持っている。


雨降る夜には不安でどうしようもなく震える心と、

星降る夜には口笛を吹いてしまいそうな煌めく心と、

ありきたりな悲劇と喜劇をさらりと受け流す強い心と、

いざとなればクルマなどに頼らず歩きに歩く強靱な脚力と、

意に沿わぬ要求を断固拒否する意固地なまでの意志の力と、

それでいて大人ならではの温情と懐の深さを併せ持ち、

盤石のバックボーンとなっている清潔な良心を持っている。


昨日までの歓びをしっかりと記憶する澄み切った前頭葉と、

明日からの予定に早くもときめいてしまう夢見る想像力と、

少々のことには動じない粘り強い不思議な底力を持っている。

年齢を重ねるごとに未来の時間は目減りしていくけれど、

決して風化しないキラキラした昨日を積み重ねながら、

今日と明日を楽しむために、すこし頑張っている。

食べている。笑っている。怒っている。

歩いている。働いている。眠っている。

気の早い春の追い風が、こつんと背中を押すと、

明日のまんなかへ堂々と踏み出して行く人。

そんな人が好きですね。


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