本日は中国モノ第二弾です。
今回は本当にあった話、実話です。リアル・ストーリー。
好景気に乗り遅れまいと、中国農村部から都市部の工場へ労働者が大量に流入している。
資本家は当然のように彼らの上前をハネる。搾り取れるだけ搾り取る。
搾取につづく搾取。連続搾取。
今年3月、小さな繊維工場の給料日に事件は起こった。
工員にとって給料日ほど楽しい日はない。
待ちに待ったペイデーだ。
雲南省からやって来た張美麗さん(17)は、故郷の両親に仕送りをしている。
給料のほとんどを仕送りし、わずかな残りを生活費に回している。
ところが今月の給料を数え始めた張さんは異変に気づいた。
むむむ、おかしい! 紙幣の感じに違和感がある。
よーく見ると紙幣すべてがニセ札だった。
張美麗さんは、社長に抗議した。
★社長が渡した3月の給料
シャッチョさん、これ、ニセ札あるよ!
ほんものない! どしてくれるかな? ご婦人、理不尽、火星人!
お札の男、へらへら薄笑ってますね。北の人間か? 青森とか?
故郷のチチとハハ、マニ大好きね。
ワニ? ワニ違うよ、マニよ。マネーのことよ。
マネー仕送らないと両親または親戚一族郎党みな悲しむ。とても悲しむ。
朝昼晩泣きじゃくり、悲嘆の壺に入りこむ。涙の塩漬け。哀愁の挽歌。
シャッチョさん、お願いします。正しいマネーをくださ〜い!
★社長が渡した4月の給料
シャチョさん、これもニセ札よ。
たく、もう! シャレになりまへんでぇ。
シャチョさん、シャチョさん、シャチョさん、お金くれるまで何回でも言うよ。
半袖シャチョさん、長袖シャチョさん、アロハシャチョさん、Yシャチョさん、Tシャチョさん・・・・、以下略。
お願いだから正規のルートで使える由緒正しいマネーを、ぎぶ・みー♪
悪徳社長は「銀行がニセ札を渡したんだ。私だって被害者だ」と言い張った。
そんなことで行員たちは納得しない。さらに抗議する。
すると社長は逆ギレして、 ええい、うるさい! クビ、クビ、みんなクビだ!
全員を解雇してしまった。
こんな無茶苦茶なことをしても、安い労働力はあり余っており、いくらでも補充できる。
労働者は労働者で、北京五輪を控えて、働き口はヤマほどある。
どちらも良い条件を求めてズル賢く立ち回る。
こうして中国のマネー大河は、ますます狂奔腐敗して悪臭満ちる濁流となって、
上流富豪階層からいまなお貧困に喘ぐ下流暗黒社会へと流れ下って行く。
★社長が愛人にあげた5月のマネ
★ちなみに張美麗さんが働いていた紡績工場は「野麦峠」を越えた向こうにある。